ポンコツ“AI”とクラスメイトが織りなす、爽やかな友情と絆に包まれたハートフルエンターテインメントフィルム『アイの歌声を聴かせて』が絶賛公開中です!
10月29日(金)に公開を迎え、公開初週の満足度調査では、満足度97.3%(10/29-10/31 劇場出口調査)、公開から約1ヶ月がたった今も、「Yahoo!映画」ユーザーレビュー4.3、「映画com」レビュー4.0、「Filmarks」レビュー3.9点と軒並み高評価を受け、(11/25付)SNSでも「今年圧倒的なナンバーワン映画」「2回目からが本番と誰かが言ってたけど納得」「何回観ても満足感を得られる」などとリピーターが続出し、絶賛の声が上がる本作。
そんな本作のロングラン上映を記念し、新宿ピカデリーにて原作・脚本・監督を務めた吉浦康裕、キャラクターデザイン・総作画監督の島村秀一登壇のスタッフトーク上映会を実施いたしました♪
【スタッフトーク上映会 〜キャラクター編〜 レポート】
今回は、これまでに劇場アニメーション『コードギアス 亡国のアキト』の総作画監督や、TVアニメーション『のだめカンタービレ』シリーズのキャラクターデザイン・総作画監督を担当した島村を招き、『アイの歌声を聴かせて』のキャラクターが生み出されるまでの裏話をじっくりと紹介。
吉浦監督と島村がタッグを組むのは本作品が初めてとなったが、吉浦は「島村さんの手がけられている作品は昔からすごく拝見していました。それこそ本当に色んな作品をやっていらっしゃって、僕が個人的に大好きな作品も担当されていて。業界の大先輩というイメージで、今回は是非にとプッシュさせていただきました。」と語り、憧れの人との仕事となったことに喜びを隠せない様子。
一方の島村は「僕らが普段やっているような原作のあるTVアニメーション作品とは、違うオリジナル劇場作品だったので、大丈夫かな…と若干不安もあった。」と企画スタート時の気持ちを暴露。更に「勝手なイメージですが、個性が強い方かなというイメージがあったので、うまくやっていけるかなと。」と吉浦個人への印象も語ると吉浦も「確かに業界の中では飛び道具的に見られがちですね(笑)」とジョークで受け止め、会場の笑いを誘っていた。しかし、「実際にお会いするとすごく熱意がある方でした。」とも吉浦監督を評し、非常に息の合った様子を見せていた。
先の発言の通り、意外にもオリジナルの劇場アニメーション作品にメインで参加するのが初めてだという島村に、吉浦は「意外だったんです。島村さんは総作監としてのフィルモグラフィーはたくさんあるので、経験されているものだとばかり・・・」と驚きの表情を見せた。
島村は「原作ものだったりゲームシリーズの劇場版だと、前提があって見てくれる感じがするんですよね。全くのオリジナル作品だと、僕も今回絵コンテをいただくまで内容が分からなかったし…。お客さんも、心構えが無い状態で本編を観て、それで、面白くないと判断しちゃうこともあるわけで…」とこれまでの作品とは違った本作への参加の難しさを語ると、オリジナル作品を多く手掛ける吉浦は興味深そうに聞き入っていた。また島村が初めて絵コンテを見た時の感想を聞かれると「面白かったです!これはヤバいなと思いました。」と答え、これを聞いた吉浦は「自分にしてみれば一視聴者のころから活躍されている方に認められた感じがしてすごく嬉しいです!」と興奮を隠せない様子。
また本作のキャラクターは原案を漫画家の紀伊カンナが担当していることにも触れ、MCからキャラクターデザインについてどんなところが苦労したかと聞かれると島村は「原案の紀伊さんのイメージを崩さないように、というところですね。ニュアンスの部分が難しかったです。監督と何度もやり取りさせていただいて、最終的にあのデザインになりました」と語る。「紀伊さんのキャラクターは絶妙なニュアンスで成り立っているところがあって…慣れた感じでバーっと書いちゃうと全然違うものになっちゃったり。」と苦労を語ると、吉浦も「それでもパーツパーツをよく見ると、別に大きく違ってなかったりするんですよね!一見するとシンプルでフラットに見える絵こそ、実は結構特徴を捉えるのが大変だったりしますよね」と同意した。
主人公のシオンのデザインについては吉浦から「ロボットだけど、ロボットみたいにはしたくない、人間で良いです。ただ、表情の変化はなるべく抑えて」というオーダーがあったそうで、吉浦も「それでも愛嬌のある可愛いバランスになっていた」と太鼓判を押す。続けて「今回、シオンに関しては眉の制限をさせていただいたんです。❝笑う❞、❝無表情❞まではOK、❝怒る❞と❝悲しみ❞は絶対描かないでください。というお願いをして、それでもあれだけのバリエーションを出していただけたのは僕個人的にすごく助かった。」と満足げな表情を浮かべた。
その他に意識したところを聞かれると「監督から、なるべくシンプルにしたいというお話をいただいたので、影とか皺とかはあんまりつけないようにして、仕草とかポーズとかで伝えられるようにするやり方で行きたいなと思っていました。わざと線を減らして抑えてみたり、というところは意識しました。」と答えた島村。このリクエストについて吉浦は「自分が思う、幅広い人に届く絵って、あまりコッテリしていない方が良いというイメージがあったんです。自分の脚本というか、キャラの見せ方というのは、こういうタイプのアニメーションにしては結構キャラがたっているほうで。やりすぎちゃうとギャグアニメみたいになっちゃうので、バランスをとる意味でもせめて絵柄だけはフラットにしたかった。」とその意図を語り、更には「あとは今回は何気に結構動くので…あまりコテコテにすると作画が大変なことになるので(笑)」と現実的な裏事情も暴露すると、会場から再び笑い声が上がった。
ここで島村に、特に好きなシーンを聞いてみると「あの柔道のミュージカルシーンですね」と即答。吉浦も「柔道のシーンは好きだと言ってくれる方がすごく多いですね。海外でも映画祭などに出展させていただきましたが、色んなロジック、絵柄とか様々な感想を頂いた上で、やっぱり柔道のミュージカルシーンいいよね、と言ってもらえる」と、嬉しそうな表情を浮かべていた。
最後の挨拶で島村が「観るたびに何かしら違う発見があるような作品になっていると思います」と語るように、この日の会場の観客にリピーター率を問いかけるとなんと8割近く手が上がるという人気ぶり。満足度が非常に高い形で評価されている本作に対し吉浦も「来るたびに違う話が出来て、それでもまだまだ話していないことがあるというのは非常に嬉しいことです。この後も色々と催しを考えていますし、映画って興行が終わった後もいろんな形でずっと残るものなので、折を見て見返してくれたら嬉しいなと思います。」と挨拶し、キャラクターデザイン・総作画監督という、普段中々じっくり聞くことの出来ない制作秘話を語りつくした今回のスタッフトーク上映会を締めくくった。